メンバーからみなさまへ
みなさまこんばんは。石川和男です。
今日のわが町の最高気温は30度。午前中には激しい雨も降りましたが、少し暑さが落ち着きましたね。今週はどうなりますことやら。
9/5のオンラインコンサートの視聴券は、もうお求めいただけましたでしょうか。
今回のためだけに私が編曲させていただいた歌もお届け予定です。
なんとなく「インターネット難しそう」と思われる方も、下記よりご購入の上、ご覧いただけましたら嬉しいです。
さて、突然の世知辛い話ですみません。(笑)
2012年、ドイツの空港税関でヴァイオリニストが自身の楽器を差し押さえられる事件が数件ありましたが、ニュースでご覧になった方もいらっしゃるかと思います。
「転売も可能な評価額1億円相当の工芸品を無申告で密輸しようとした。取り戻したければ19万ユーロ(2370万円)の輸入税支払いを」
というのが税関の言い分で、
「これは人生をかけて手に入れた相棒で、商売道具無しには仕事にならない。今まで申告が必要だったことは一度もなく、突然の暴挙に断固抗議する」
というのがヴァイオリニスト側の言い分。
その後、
「職業道具を持ち込む場合は申告しなくて良い」ことになり、無事返還されたそうです。
これは、イタリア北部バゴリーノ村で2014年に見せていただいた原始のヴィオラ。西暦900年ごろ。
弦楽器奏者が全員ストラディバリとかガルネリのような歴史的名器を持っているわけではないでしょうが、破格の値がつく1700年代の骨董品が現役バリバリのトップブランド、というのは弦楽器ならではですよね。
ピアノ製造は職人技という点では共通ですが、どちらかというと工業製品で、各社の技術革新とか特許の歴史でもありますので、骨董品が現役バリバリの商売道具というケースはあまりありません。そもそも持ち歩かないので、税関で止められることも、機内持ち込みサイズを心配することもありませんね。(笑)
ちなみにベートーヴェンとかモーツァルトが弾いていた頃のピアノは「フォルテピアノ」とか「ハンマーフリューゲル」と言って、現在のピアノとは別の古楽器として、それを味わう演奏会もありますので、ご興味ありましたらユーチューブなど検索してみてくださいね。
税関との見解の相違で小咄をひとつ。
第一次世界大戦直後の1920年(ちょうど100年前ですね)、ロシアの作曲家ストラヴィンスキーは、イタリア・ローマにいたパブロ=ピカソを訪ね、肖像画を描いてもらったのだそうです。
そしてその絵を大事に抱えて帰ろうとしたところ、スイスとの国境の町キアッソで税関に止められてしまったのです。
おかげで電車を乗り逃し(1920年ごろスイスではすでに電気機関車が走っていました)、翌朝まで足止めを食らったものの、そこの署長が美術愛好家だったため、後日郵送で済んで事なきを得たのだそうです。
その時の税関の言い分は、
「こんな絵が肖像画だって?どう見たって要塞の地図ではないか!」
と。
、、、、、え???┌(; ̄◇ ̄)┘
ま、まさか…ピカソ画伯の真骨頂が遺憾なく発揮された結果、まるで人の絵には見えないような前衛的大作が生み出されてしまったのか。。。(笑)
この時の絵は検索するとインターネットでも見ることができるのですが、特に前衛的でもない普通のペン画き(?)の人物画でして…当時の世相を物語る話なのか、でなければ単なる「ネタ」なのか。。。
もっとも、ストラヴィンスキーがバレエ音楽《春の祭典》を作曲して初演した時は、あまりに前衛的で不協和音の続く音楽に、会場は大騒ぎになったそうです。
前衛勝負は、ストラヴィンスキーの一本勝ち。(笑)
8月もあと1週間ほど。。としまえんも閉園まで残りわずかで…なんとも寂しい限りです。
いつもより風物詩に触れることの少ない夏ですが…油断せず乗り切りましょう!